宇奈月ブログ

人生の旅人

友の奥さんからの封書

突然の見覚えのある名字の速達封書が届いた。

よく見ると、亡くなった親友の奥様からの
封書だった。

苦労を共にした友の死から16日がたっていた。
亡くなった訃報をの知らせを受けた電話の
一声がよみがえった。

一瞬、息をのむ。一呼吸おいてもう一度裏面を読む。
間違いなく奥様の名前であった。


そこには、親しかった友人に、故人の
持ち物の中から、大切そうに仕舞っていた
品物をおすそ分けの形でお渡しすると
書いてあったのである。

私たちが、夜なべしながら仕事をこなしていた
事を奥さんに、話していたことは知る由もなく

手紙を受けて、初めて知ったわけである。

中には、代表的な、まだ若かりし頃の
設計の注文書が含まれていた。


彼は意匠、私は構造を担当していたので、
見積が彼にも意匠注文として届いていた。

私の構造の見積書が彼の手元にあったのは
仕事の上司であったからだろう。

この書類を見た時には、記憶が断片的だけれど
浮かんできた。

当時は、今のように残業時間の上限が
決められている訳でなく、今から
考えられない、しきたりが残っていた。

1年の休みは、日曜日、お盆、正月、
旗日(祝日)が休みで、土曜は休み
でなく半日休(午後休)であった時代
であり、これも大企業、公務員
だけだったよう記憶している。

私たちは、当時の忙しさに身を置いた事を
恨んだり、嘆いたりしたものだったがが、
このハードな経験があるからその後の
生き方に自信が付き、今があることを
感謝している。

今はコロナウイルス被害の影響で
外出もままならないから、参墓できず
遠くから安らかにと祈っている。






ありがとうございました。




完。