朝からかなり多い浮雲群が空を
覆っていた。
東の連山の頂上は、今は何も見えない。
晴れていれば、必ず小さいながらも、
くっきりと、電波塔や施設が見える。
自分は感じないのに、上空は強風で
昼を待たずにその浮雲群は早やかに
動き出して東側の連山から西の方角に
次々と、その姿を変えながら流れ
去っていった。
それを待つていたように、雲間から
青空がかを出す。
移動する千切れ雲も間から青空が表れて、
雲にさえぎられて見えなくなり、
また雲が移動して青空が見える様は、
映画のコマ落としににている。
まだ力強い夏雲のように強さはないが
どこかしら 柔らかい。
綿菓子のように見える。
ふと
綿菓子を凍らせたらどうなるか
など詰まんないいことを
思ってしまう。
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1時の夜空。
夜、さすがに寒い。
玄関の門灯を点け忘れ確認す
るためにスイッチを見る。
玄関の、
ドア越しにほのかな
明かりが灯る。
雪が積もると、いいのにな
思いながら、
ひょっとしたら、と玄関の
戸を開ける。
雪の代わりに。
正面の夜空にくっきりと
月 。
静寂の夜の中に、
冴えわたる、空気のなかで
くっきりと浮かぶ。
ふと
思い出すこの歌がある。
「月の砂漠」を。
●〽 月の砂漠 ●〽
演奏:アントニオ古賀
作詞:加藤まさを
作曲:佐々木すぐる
月の砂漠をはるばると
旅のらくだが 行きました
金と銀との くらおいて
二つならんで 行きました
金のくらには 銀のかめ
銀のくらには 金のかめ
二つのかめは それぞれに
ひもでむすんで ありました
先のくらには 王子さま
あとのくらには お姫さま
乗ったふたりは おそろいの
白い上衣を 着てました
広い砂漠をひとすじに
二人はどこへ 行くのでしょう
おぼろにけぶる 月の夜を
対のらくだは とぼとぼと
砂丘をこえて 行きました
だまって超えて 行きました
(了)
ありがとうございました。
完。