宇奈月ブログ

人生の旅人

遠い若い日の人生の一コマ

今は小、中、高校も夏休みたけなわ。
遠い遠い昔のチョッピリ甘い経験と
思い出。

私がまだ高校生の頃の話である。


「山陰の城下町」
と言われた水郷の街でこの多感な時代を
過ごした60年強、前の話である。

当時の学校は男女生徒の付き合いは、
校則で禁止まではいかなかったものの、

指導教官がいて、交際には消極的で、
大いに学校側からの監視のアンテナは

張り巡らされていてうるさい
存在であった。

また世論もこの年代の学業高は文武に
専念する年頃だと思っている父兄が
大多数であったから、

まだ早いと
批判的な思考が大多数をしめていた。

だが生徒側からすると、自然な
なりゆきは認めてほしい気がある。
少しでも背伸びしたい気持ちが
どこかしらあった。

体力的な面は今と比べると
小さかったが、精神面では、
その発散する力の大きさは
そう今も昔も変わらない。

中には、噂で付き合っている
生徒の氏名や顔が自然に噂として
耳に入るわけである。

そんな時には、本音ではうらやましい
とおもうこともあった。

いいなあ



そんな気持ちを私は抱えながら、
夏休みにはいった。

*****

ある日、私の友人が、映画にいこう
と誘いに来た。


友人:新作映画が封切されたから、
見にいこうや

自分:どげな(なんていう)映画かの?
友人:谷崎潤一郎の 鍵 だがね(です)

自分:日本映画かね。鍵は見たらいけん、
   禁止映画だから、いけんがね
   ひとりでいけば。
友人:じゃ、ひとりで行くけんね。

自分:しらんで。叱られても。 

友人はひとりで、見にいった。

その後、私は自転車で、当時湖畔の
大橋の際に有った本屋に出かけた。
こじんまりして本屋だった。

そこで偶然に陸上クラブのマネージャー
の女生徒に会った。

学生服できていたのですぐ判った。
夏休みの課題の本をさがしにきと言う。
1年下のおかっぱの素敵な子だった。

時間は昼少し過ぎていたと思う。

少し本を探しながら立ち話をした。

でも、気が合ったのか お茶を飲むという
大胆な思いで(当時では)彼女を誘った。

自然に、この橋反対側のパーラーに二人
で歩いて渡った。

そのパーラーには私の親戚の姉さんが
勤めていて
 二人だけでのデートではないと
軽い気持ちかあった。

そこでかなり話をしたように思う。

そして別れ際、方向は同じ方向だが
わかれて帰った。

それから、夏休みが終わり
私は、担任に呼び出された。
事情をきかれた。

大橋を歩いているのをバスの中から
見かけた先生が母校に告げたらしい。


事情を話して、義姉の説明で簡単に
終わったのが良かった。


しばらくは、いい意味での噂は
続いた。

彼女には悪いことをしたと
しばらく部活での接触
とだえた。

その後受験での勉強に力を
入れるので部活をやめて、その後は
立ち消えとなった。

禁止映画を見た彼は、見つからず
無事だった。

危険を回避した私が、問い詰められる
不運は苦いと思ったが、

彼女との清々しいひと時が閉鎖的な時代に
一筋の珠玉の思い出として
今も心に残っている。





ありがとうございました。


完。