久しぶりに小雨がやってきた。
でも、これって雨なのかな
今時珍しい小ぬか雨みたいである。
土砂降りではなく、空から落ちてきて
霧のように消えてしまいそうな雨である。
その雨のしずくが枝のここかしこに集まって
小さな水晶の球を作っている。
水滴が落ちると、また同じ場所に
同じ水晶球が生まれ、同じように
繰り返していく。
耐えきれずに、水晶玉のような
水滴はポタリポタリとリズミカルに
落ちていく。
雨は、霧のようにあいかわらず、
くすんだ空から舞い降りて
紅葉の小枝を濡らす。
水滴がこえだで玉になると、
時々通るすぎる車両の影が水滴に
映り込み、リズムを刻んでいる
ように映る。
庭の紅葉の梢にも小さな蕾が付き、
そこまで来ている春を愛らしい形で
表現している。
庭の盛の過ぎた植木鉢の花も木も
すぐそこに来ている春の暖かさを
待ち望んでいるようだ。
我が家の紅葉(秋)
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「早春賦」
★〽 早春賦 ★〽
春は名の見の風の寒さや
谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと声も立てず
時にあらずと声も立てず
氷溶け去り葦は角ぐむ
さては時ぞと思うあやにく
今日もこのうも雪の空
今日もこのうも雪の空
春と聞かねば知らでありしを
聞けば急かるる胸の思いを
いかにせよとのこの頃か
いかにせよとのこの頃か
(了)
完。