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近くの木からは蝉の声がまだない。
今日の空は曇り。はじめべったり薄い灰乳白色は天空に張り付く様に
広がっていましたが、やがて灰乳白色は,薄く成り始める。
隠れていた青空が代わりに顔を出して、空は次第に青色に滲み染まるよう
に、広がり、全体に青と白との割合がかわっていった。ちりじりなった
所々の雲は次第に寄り集まり小さな綿雲の塊になに、
そして引かれ合ってさらに重なり合い、綿菓子の様に膨れ合って、
天空に散らばっていった。そのうち、どこともなく小さな雲が風で流され、
しだいに大きくなり、塊が今度は大きな綿菓子状の雲へ変化
していきました----。
アッと
気が付けば、30分は経っていました。
私は、日ごろは
朝、家の窓から小さな庭の木々の間を通して
小1時間程度、南の天空の景色をながめながら、
今日はどうしようかと天気が良い日は、ここから一日がはじまります。
私の庭も夏に向けて次第に姿を進めています。庭を見れば、昨日羽化したばかりの、
蝉の抜け殻が、今年は、初蝉としては少し遅く見えました。
いつもは10日ごろから私の庭で姿を見るのですが、
今年は少し遅く現れて、「やっと来たのか」と少しの安堵を与えます。
同じ風景が再現されないと、今年はだめかな、と気持ちがざわつきます。
不安と期待とを私に持たせながら、夏の風物詩は 遅れてやってきました。
安心のひと時です。
地面から出てくるときは、固い強靭な足等で土を堀り開き地上に出るので、地面には無数の穴が開き、
その数だけが、地上に出た証ですから、ことしはまだ穴は、不思議ですが見当たりません。
見えないところでふ化したためでしょうね。自分の庭での、今年初めての生命の誕生は、
蝉でも感激します。
4,5年まえには、クスの木があり、二階の屋根を通り越して、棟近くまで茂っていました。
その頃は、四季折々にたくさんの小鳥たちが訪れて、今以上ににぎやかでありました。
この庭でも、夏には、蝉の鳴き声で、圧倒されました。しかし災害があった時を考え、切る決断をして、
処分したのです。心から残念で悲しみました。
今年も、蝉も忘れずに、僅かな子孫を残しながら、私たちに、
生き物の生き方を伝えてくれて居る様でした。
蝉良く戻ってきたね。
皆さま今日幸いあります様に。
さごまでのお付き合いありがとうございました
完。
生活